SDGsネットワーク ショートプレゼン

「パパチカ」は、7年前に誕生した父親のボランティアサークルです。“「パパ」の「チカラ」で地域と子育てを盛り上げていきたい”、という思いから和歌山の名産名所を素材にした塗り絵を作り、子どもたちに無料配布しています。私たちは、子どもの教育、地域愛を育むという観点からSDGsネットワークに参加しています。

設立当時、和歌山は父親の子育て参加率が全国で最も低いデータがありました。父親と子ども、地域と親子、この二つの距離を近づけるツールとして地元の名産名所を「塗り絵」にして子ども1万人に無料配布することを発案。和歌山市の市民提案底力実施事業に応募しました。

子育て支援課の協力もあり、2014年冬に、「ぶらくり丁」「紀伊風土記の丘」「ぶんだら踊り」など、14枚の塗り絵を作り、子どもたちに届けました。単年度事業のため、これで終わる予定でしたが、子どもたちから次も作って欲しいと依頼がありました。

協賛してくださる企業のおかげで続編の目処が立ち、今までに年1冊のペースで6号まで発刊。80種類のイラスト、冊子にして計8万冊以上、地域に配布しています。嬉しいことに年々、楽しみにしてくれている子どもや施設も増え、パパチカ一同、やりがいを感じています。

一方、時を経て、自分たちの子どもが塗り絵世代を通過し、子どもと一緒に塗るというリアリティがなくなる中、「地域愛を育む一つのツール」という、新たな塗り絵の方向性が生まれてきました。

 和歌山には素晴らしい食文化、自然、歴史があります。しかし残念なことに、休みとなれば、ショッピングモール、アニメ、ゲームに費やす子どもが多いのも事実です。小さい頃から塗り絵を通して、地元の良さに触れる機会が増えれば、和歌山を愛してやまない大人になるのではないかと考えます。

ここに第1号で取り上げた2枚の絵があります。ラーメンと鯛。和歌山の人はラーメンが大好きです。親子で一緒に塗り、「よし、今度、あそこの店に食べに行こう」と会話が弾むかも知れません。鯛の塗り絵を通して、加太伝統の一本釣漁法を伝えることもできます。

また、野菜のイラストを掛け合わせることで、春になれば、加太で採れるワカメと山東の竹の子で作る煮物があり、7月になれば採れたての新生姜でジンジャーエール作るなど、和歌山ならではの食文化を伝えることができます。

 塗り絵が子どもに与える影響は大きく、集中力や脳の発達に欠かせない手先を鍛えることにもなります。また描くことに比べ塗ることは比較的簡単であり、自己肯定感を高めることにもつながります。そこに先ほどの地域教育が加われば、様々な相乗効果が生まれるのではないでしょうか。

最初に少し触れましたが、SDGsにおいてパパチカが貢献できるのは、特に4と11ではないかと考えます。子どもの心の中に、大人になっても消えない原風景を何枚描いてもらえるか、そういったところを軸にして、地域教育に関連する団体やプロジェクトでお役に立てればと思います。

現在作成中の第7号は「人と人とがつながる場所」をテーマにしています(20213月に発刊)。子どもたちに将来も和歌山に住みたい!と言ってもらえる町づくりに貢献したいと思います。